前回のコラムで、滋賀大学の河本教授の主張をベースに、変革を実行するための能力は次の方程式で書くことができるとした。 「変革」能力=[会社を良くしようとする意欲]×[問題解決能力]×[各分野のスキル] 「会社を良くしようとする意欲」=「問題を「自分ごと」と捉え、変革に向けて行動する意欲」
この方程式の主張は大きく二つある。 ・ いくらスキルを学んでも、意欲が0であれば、掛け算した能力は0ということ ・ 「問題を「自分ごと」と捉え、変革に向けて行動する意欲」を育てるべき
今回は、「問題を「自分ごと」と捉え、変革に向けて行動する意欲」の獲得について、考えてみたい。
この「意欲」のテーマは、日本企業の中では「道徳」の教科のようにとらえる傾向がある。「主体的に行動しなさい」という指導で改善されるとか、優秀な社員はみな強い変革意欲を持っているというような幻想に包まれている。 私も昔、人事部主催の研修で「主体性」のコースを受けた記憶があるが、3日坊主ですぐ忘れてしまい、この程度の研修では意欲を獲得することは難しいように思う。日本人ばかり見ているとそこに気がつかないが、外国人材と比較してみると、圧倒的に負けていることは一目瞭然だ。 もっと、この課題の重要性や深刻さを受け止めるべきと思う。
世界にはどのような研修があるのか、ChatGPTに聞いてみた。
・・・・・ モチベーションを引き出すためのトレーニングやコーチングには、いくつかの有効なアプローチがあります。これらは個人の意識や行動を変えるために設計されており、自己認識を高め、目標達成に向けて積極的に取り組む力を引き出します。以下にいくつかの代表的な方法を紹介します。
上記のトレーニングの考え方を見てわかる通り、「個人の意欲」醸成は、簡単なテーマではないことが理解できる。1、2日の研修で済む話ではなく、長期にわたって計画的にトレーニングやコーチングを実施すべき深いテーマだと考えるべきではないだろうか。特に、「自分ごととして捉える」能力を育むためには、2の自己認識を深めるトレーニングや4のGrowth Mindsetが有効なのではないかと推察する。
「個人の意欲」は、ただ指示通りに動く人を0%、フロー状態で活動する人を120%とすると、0~120の大きな幅の中にあるものと思われる。もし、全員がフロー状態で活動したら、凄まじい生産性と大きな成果が間違いなく実現するだろうし、全員が指示待ち人間だとすると何の変革も起きない停滞した会社になるだろう。 その意味で、これは明らかに「経営課題」だと考える。にもかかわらず、日本企業の実態はどうだろうか。人事部任せ、研修会社任せ、社員任せ、になっているのが実態ではないだろうか。
自分の今までを振り返ると、マインド研修とかモチベーション研修とかと言う名前の研修で「やった気」になっていたが、本質的に「意欲」の醸成を実行してきていなかったのではないかと反省をする。もっと、科学的に、長期的に、体系的に、戦略的に、「意欲醸成」に取り組むべきではないだろうか。 次回は、欧米の企業がどう考えているのかを軸に掘り下げていこうと思う。
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