第1回の「スペキュラティブデザイン」、第2回の「コピーライティング」に続き、最終回では「ビジョナリーワード」について学びます。 各務太郎様 「ビジョナリーワード」という言葉そのものになじみがない皆様も多いのではないでしょうか。講師・ファシリテーターを務める各務太郎様は、ビジョナリーワードは資金計画、仲間集め、チームマネージメント、事業計画の明確化までを目的とした「頭に絵が浮かぶ言葉」だと定義します。 具体例を挙げると、J.F.ケネディによる「10年以内に、人類を月に繰り込む」がビジョナリーワードの代表例です。この一言によって、「いつまでに」「何をするか」が具体的に共有され、ケネディがその後10年間不在だったとしてもプロジェクトを進行させることが可能だと、各務様は解説します。「月」というターゲットがあれば、そこに到達するための燃料タンクの設計から、宇宙開発のための予算配分までが見えてくるためです。 このように、その言葉があるだけで具体的にプロジェクトの仕様とゴールが見えてくるような言葉が「ビジョナリーワード」です。J.F.ケネディの他にも、アップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、ウィキペディア、ディズニー、任天堂などの豊富なケーススタディを通して、ひとつの言葉が企業やサービスを定義し、イノベーションを興してきたかが紹介されました。 プログラム参加者によるビジョナリーワード開発のワークショップでは、パーソナルコンピューターの登場を事例にプロセスを学びます。この場合は「革新したいこと=トピック」を「コンピューター」に設定し、ステップ1として「現状を疑う」ことから始めます。大型のコンピューターが当たり前だった時代に、本当にコンピューターは大きくなければならないのかを問うわけです。 ステップ2は「未来を探る」フェーズです。「もし、机の上に乗るくらい小さなコンピューターができたら?」という仮定をすることで、ステップ3の「言葉をつくる」、つまり「すべてのデスクとすべての家庭にコンピューターを」というビル・ゲイツのビジョナリーワードが生まれます。この言葉にドライブされることでHDDを小型化するための半導体設計、冷却装置、パッケージソフト、低価格化といったビジネス化の計画を立てるのが ステップ4になります。 ワークショップの成果発表においては、DBICメンバー企業からの参加者ならではの生命保険、データセンター、火力発電、航空会社といった業界からのトピックが並びました。 最後は本プログラムの企画を担当された早稲田大学WASEDA NEO プログラム・プロデューサーの高橋龍征様から、本プログラム(基礎編)参加者を対象とした「実践編」(DBICにて2018年5月開催)のご案内がありました。 スペキュラティブデザイン、コピーライティング、ビジョナリーワードを使って自社の具体的な課題に取り組むことができる実践編にご期待ください。 高橋龍征様
「未来のシナリオを創る、人を動かす方法論」(各務太郎)
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