DBICがUNLOCKの必要性を公に主張し始めたのは、2020年7月に発刊した「DBIC VISION PAPER」でのこと。人材についての議論のなかで、共同代表の西野氏がこう語っている(p.35)。
「僕らは自分をアンロックせよと言っているんですけどね。若い社員を集めても、一人ひとりに鍵が掛かっちゃっている。いわゆる名刺上の、組織に乗っかって生きるみたいな人たちばかりになっているから、会話は面白くないし、アイデアも出てこない。当然、お互いも触発しない。集まっていても全然、面白くないんですよね。だいたい声が小さい。生きているんだか、死にそうなんだかわからないような声なんですよ(笑)。」
この問題意識が、私たちDBICが当初から強烈に感じている大企業社員共通の病の症状だ。デザイン思考のフレームワークを学ぼうが、ビジネスモデルキャンバスを描こうが、会社という洞窟に棲み、予算と売上という衣をまとっていては、創造性など生まれるわけがないという悲しい事実なのだ。 そこでDBICは、各個人が洞窟から脱け出し、自分の感性を取り戻すトレーニングの必要性を認識し、「UNLOCK QUEST」という3か月のプログラムを実施している。会社の枠に閉じ込められた自分の認知に気づき、そこから自分の人生がこのままでいいのかを考え、自分を取り戻していくプロセスを提供している。実はこの作業がかなり難しい。3か月以上の時間を必要とする上に、一人ひとりの脱皮の状況に合わせたタイムリーな1 on 1のコーチングが欠かせない。 そして、このプログラムを受けた後のみなさんの変容ぶりをその発言から見ると、嘘のように自律した人間に脱皮している。そして、自分から会社を変革する活動を始めている。だから、私たちはDXとか企業変革を実施するためには、UNLOCKされた人材をまずは生み出すことがスタートだと確信している。
10月18日に私がIMDから頂いたメールに以下のような新しいプログラムの案内があった。
「Unlock your creative genius(あなたの創造性あふれる才能を解放せよ 横塚訳)」
そしてそのあとに説明がある。これをグーグルと私とで翻訳して以下に記す。
「なぜこれほど多くの革新的な取り組みが失敗するのでしょうか?自分の創造性を活用し、より良いアイデアを生み出し、それらを自分のコンテクストに合った画期的なソリューションにうまく変換する簡単な方法があったとしたらどうでしょうか。 科学は創造性とイノベーションが学べることを証明している! ビジネスクリエイティビティとイノベーションスプリントは、アイデアから行動へと導く段階的なロードマップとして設計されています。あなたの創造的能力を活用し、グレイトなアイデアを生み出すための戦略とツールを発見してください。」
これが世界最高クラスの社会人向けビジネススクールIMDが私にくれた1つのプログラム案内だ。欧米人は日本人よりは自律している傾向はあるが、それでも、UNLOCKの必要性をIMDがアピールしている。同じとは言わないが、私たちと似た問題意識を持っていると推測している。IMDがUNLOCKと言っているからには、世界共通の問題意識になりつつあると考えてもおかしくない。それだけ世界もUNLOCKの重要性を認識しているということだろう。
経営幹部や人事部の皆さんは、UNLOCKというものの意義や効果についてメディアや研修会社などから説明を受ける機会がないので馴染みがないと思われる。流行りのDX人材とかジョブ型雇用とかに目を奪われがちとは思うが、組織に組み込まれた個人、過去の成功体験や慣習に縛られている組織、そういったことを解放することの重要性、UNLOCKの必要性に気がついてほしいと思う。
他のDBIC活動
他のDBICコラム
他のDBICケーススタディ
一覧へ戻る
一覧へ戻る
一覧へ戻る